高温高湿試験におけるシリコン系太陽電池の表Ag電極の劣化と鉛化合物の生成

2019年01月15日

動機

  • 世界各国、様々な気象環境で使用される太陽電池は長期信頼性が要求される。
  • 故障原因を解明し、対策を行うことで長寿命化出来れば、安定したエネルギー供給が可能となる。
  • 太陽電池用電極のモジュール内での故障の現象解明に挑戦した。

課題

  • 太陽電池モジュール内部で、どのように劣化するのか原因を究明したい。

成果

  • 太陽電池モジュールの出力低下部分の電極では、そこに形成されるガラス層の組成が変化していた。
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所:福島再生可能エネルギー研究所と共同研究
    2018年 7th World Conference on Photovoltaic Energy Conversion (WCPEC-7)+Best Poster Awardを受賞

課題背景

  • 今まで、太陽電池用電極の信頼性試験として、モジュールでの電気特性(発電能力)の調査を実施してきたが、電極がどのように壊れるのか?ということには、弊社はあまり目を向けられていなかった。​
  • そこで今回は、モジュール内部で電極が、如何に劣化するかということに焦点を当て、その原因を確認した。​​
  • そのため、モジュールを作製できる国立研究開発法人産業技術総合研究所:福島再生可能エネルギー研究所(以下、産総研)と協力し研究を行うことになった。​

図:太陽電池セル

外部研究機関との協業による現象の解明​

  • 電極ペーストはナミックスが作成する。​
  • 太陽電池セルとモジュールの作成と高温高湿での加速試験は、産総研が実施する。
  • 劣化後の電極の分析は、ナミックスが行う。

写真:電極ペースト黒く変化したところが、電極と基板の界面の抵抗が増加し、出力が低下しているところ​

成果

  • 電極と基板の間にガラス層を形成させていることは、​すでに分かっていたが、試験後にガラス層の組成が変化していることが分かった。​

図:ガラスのEDSスペクトル

  • 今まで言われてきたこと

    封止材から発生する酢酸がガラスを溶かしてしまう

  • 今回分かったこと

    ガラス層の組成が変化(鉛が溶出)していた。

一般的に、ガラス層中の金属の量が減ると​電気伝導率が低くなると言われているので、​鉛の溶出が劣化の要因であると考察した。

溶けだした鉛が、電極内で別の化合物として存在していた。

図:酢酸鉛のSEM画像とEDSの相象と酢酸鉛のEDSスペクトル

出展 WCPEC
URL http://www.wcpec7.org/WCPEC-7/​
発表タイトル “Corrosion Of The Glass and Formation of Lead Compounds in the Metallization by High Temperature and High Humidity Test of Crystaline silicon PV Module”​

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